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バリ島
05/7/10〜14
 女3人(A女、B女、私)でバリ島へ行った。空港には、A女のカレシのP氏が、バリ島に2台しかないという大型のBMWで迎えに来てくれる。
 P氏はレストランチェーンのオーナーだったが、昨年、その店も横浜の家も、ついでにフェラーリやランボルギーニもきれいさっぱり売り払ってバリ島へ移住した。今は、海の見える丘のプール付きの家に住んで、利息で暮らしている。
 と書くと、流行のチョイ悪おやじ風だが、むしろ見かけは中年ガテン系である。車にはYAZAWAのバスタオルが飾ってある。どういう訳だか、飲食店関係には矢沢永吉好きが多い。麻布の洒落たイタリアンに取材に行ったら、休憩時間は「永ちゃんしかかけない」というし、新橋のすし屋では、少ない休みをやりくりして青森まで公演を見に行ったといわれた。

 さて、私たちはそのまま屋台に行って、バリ風お好み焼きとビールで乾杯した。屋台のおやじさんが生地をひょいひょいと伸ばして鉄板で焼き、具をはさむ。これに、とびあがるほど辛い唐辛子とサンバルという、これまた辛い調味料をつけて食べる。
 さっき、空港についたときは、もえ〜とした空気に「なんて蒸し暑いんだ」と思ったけれど、もう体がなれてその湿気が心地よい。体の芯がぐんにゃりしてしまいそうな、アジアの大気である。
「そうだろう。俺の家なんかさ、海からの風が冷たくて夜は寒いくらいなんだ。物価も安いんだよ。ふつうの人の給料が6000円だからね、えびとか貝とかお腹いっぱい食べても1000円。エステも、家に来てもらってこっちが疲れたっていうほどやってもらって、やっぱり1000円」とP氏。
 すぐお金の話になるのが、P氏のかわいらしいところだ。出る金には細かく、儲け話には敏い(らしい)。東京にいるときは「億」の単位だったが、こっちに来てからは為替とともにスライドして「100億」の話になっている。庶民には桁が違いすぎて、実感がわかない。
「なんだ、また自慢かよ」と思わないでもないが、一代で築いた財産である。波乱万丈の成功物語は何度聞いても飽きない。

 翌日からは、P氏の案内で、エステにご飯、買い物してまたエステ。
 その間にプールで休憩という毎日だ。
 スケッチはホテルのプールと海辺のレストランだ。
 プールサイドは色とりどりの花が咲いていて、空を見ながらプールにぷかぷか浮いていると、いろいろな国の言葉がさざなみのように響いてくる。日本のあれや、これやが遠くなって、フヌケになっているのが分かる。
 楽園ですな。

  写真はレストランです。
 Bandar Seafoodは、こぎれいな中華料理屋で、入り口にすっぽんやえびや貝を入れた水槽があり、それを選んで調理してもらう。
 すっかり忘れていたけど、こんな立派なロブスターを食べたんだ! ハタをあっさりと香草で蒸したものやXO醤でさっと炒めたホッキ貝も美味。一人3000円。給料の半分を食べてしまうわけだから、それは贅沢です。お客さんも裕福そうな中国系ばかりでした。
 
 ホテルの近くのURAMという店で。海水の温度が高いので、こちらの魚は身がしまっていないそうだが、一塩して干せば、その問題も解決。バリヒンドゥーでは左手を使わず、右手だけで食べるのが正式なマナーだそうだが、やってみるとご飯が手についてなかなか難しい。 

(ちなみにトイレに入って使うのは左手だ。こっちのトイレは和式で水桶からひしゃくで水をすくって流す。トイレットペーパーは流さず、ごみ箱に捨てる。脇に蛇口がついているので、掃除のときに使うのかと思ったら、そうではなく、お尻を洗うウォシュレットなのです。私が入ったトイレにはTOTOのマークがついていた。)
 
 街道沿いの一膳飯屋。
 ウィンドーに入ったおかずをご飯にのせてもらう。これで70円ぐらい。味付け卵は人気のアイテム。辛うまい一皿でした。
 
 ダリアという美容院で、クリームバスをした。この店は全員男で、しかもオカマだ。
「あ、やーん、みなさん、日本から来たPさんのお友達? よろしくっ」というような感じで、体をくねくねさせてくれる。
 髪の毛にアボカドとかハッカの入ったクリームを塗って、マッサージするのだが、男だから手が大きくて力がある。ぐいぐい押すと、毛穴の脂なんかみんな溶け出してしまう気がする。頭がスースーして、それはそれは気持ちいい。P氏の友人の薄毛のオジサマも最初はおっかなびっくりだったが、すぐにスースー寝息をたてていたそうだ。
 3時ごろ、店の前を通る屋台のつみれ汁をごちそうになった。つみれはふわふわで、時折コリッと歯にあたる。鶏の軟骨に魚のすり身を加えたものらしい。味の素っぽいスープが入って、ちょっと辛い。
 こっちの人の軽いランチ、おやつである。

(ダリアの店は、着いた日にいった屋台村のすぐ近くだ。だが、昼間行くと何もない。道路脇に空き地が広がっている。夕方、屋台が三々五々集まってきて、どっかから電気をひいて商売するのだ。)